ジャズスタンダード曲”There Will Never Be Another You”でのDane Aldersonのソロからフレーズを紹介します。
フレーズの数が多いので記事を2つに分けて投稿しています。前半の記事(リック1~9)はこちらから。
後半はソロも発展し複雑でテクニカルなフレーズが多くなっていくように思います。ぜひ両方のフレーズを比べてながら弾いてみて、ご自身の演奏に取り入れてみてください。
フレーズの説明は私の個人の解釈です。色々な捉え方があると思いますので皆さんも分析してみてください。
There Will Never Be Another You – Dane Alderson’s Solo
ギター、オルガン、ベースのトリオ演奏です。3人のソロはもちろんですが、それぞれ反応しあって演奏が発展していく様子が素晴らしく、大好きな演奏です。
Dane Aldersonのソロは4:28~。
There Will Never Be Another You のコード進行
キーはEbです。フレーズは抜粋して紹介していきますので、リードシートと照らし合わせながら弾いてみてください。
※読みやすくするため実際のオクターブと譜面の表記が合っていない場合があります。上手く表記できる方法を勉強中ですm(__)m
リック10 5:47~
和音を用いたマイナーの251/II V Iフレーズです。(その後のBbm7へのアプローチまでのフレーズです。)
G7(11)→G7→G7(11、b13)→Cm7(9)→Bbm7(9)といった感じでハーモニーが変化していっています。
ポジションや運指も合理的ですし、ベースで演奏する和音としてとても美しい響きになっていると思います。6弦ベースのD,G,hiC弦で演奏しています。
リック11 5:52~
IV△7のAb△7に向かう251/II V Iフレーズです。
Bbm7のルートからコードトーンで登っていき、Eb7の5度に半音下からアプローチしています。その後#9、b9、b7の音を通ってAb△7の3度に着地しています。
リック12 5:58~ II7 + II V Iのフレーズ
ABAC構成の二回目のAに向かう箇所のフレーズです。(II7ーIIm-V7-I△7)
2小節続くF7上でコードトーンや9thの音などを半音下からアプローチする息の長いフレーズがかっこいいです。
Fm7の3、4拍目ではF7のサウンドを想定したb13、3、#9、b9を弾いていると思われます。
その後Bb7の3度と5度を使いクロマチックなアプローチでEb△7のルートに着地しています。
リック13 6:03~ I△7 + マイナーのII V I のフレーズ
トニックのEb△7からVIm7(Cm7)に向かうマイナーのII V I/251までの一連のフレーズです。
Ebのリディアンスケールを使った3度インターバルのフレーズから始まります。
後半のマイナーのII V Iの部分はクロマチックな動きの連続でコードトーンにアプローチしています。
リック14 6:09~
2小節続くCm7とIV△7のAb△7に向かう251/II V Iフレーズです。
Cm7では9thから始まりコードトーンを経由して1オクターブ上の9thへというフレーズですが、平行調のEb△7で考えると全てコードトーンの7度、ルート、3度、5度、7度とシンプルに捉えられるかもしれません。
前のフレーズ(リック13)の連符で速いパッセージのフレーズが、その後のこのポップなリズムの歌心のあるフレーズを一層引き立てています。
リック15 6:30~
IV△7のAb△7に向かう251/II V Iフレーズです。
似たモチーフを繰り返すアプローチです。各繰り返しフレーズの塊の最低音が半音ずつ下がっていくことによってコードの移り変わりが分かるようなフレーズになっています。
リック16 6:36~ II7 + II V Iのフレーズ
ABAC構成の二回目のAに向かう箇所のフレーズです。(II7ーIIm-V7-I△7)
ここでもセクションAの頭に着地するまで息の長いフレーズを演奏しています。
Fm7の1拍目からのように、狙ったコードトーン(ここではb3のAb)の手前まで上から半音の動きで降りてきて、そのまま着地するのではなく一度コードトーンの半音下まで通り過ぎた後にコードトーンに着地するクロマチックなアプローチはソロの後半で彼が好んで演奏している印象があります。
リック17 6:43~ マイナーのII V I のフレーズ
VIm7(Cm7)に向かうマイナーの251/II V Iフレーズです。
曲のエンディングで演奏されることもあるような、7thコード感や解決に向かう雰囲気が強いメロディアスでポップなフレーズです。
リック18 6:46~
2小節続くCm7とIV△7のAb△7に向かう251/II V Iフレーズです。
Cm7ではルートをターゲットノートにして、メジャー7thの音と9thの音を効果的に使っています。
ソロの組み立て方
ソロの流れとして、前半はコードトーン中心にクロマチックなアプローチを組み合わせたシンプルなフレーズから始まり、後半はそれを発展させたより複雑なフレーズが増えていきます。
最後はシンプルでコードの機能が分かるようなフレーズや、ベースラインに戻っていくフレーズでバックテーマにつなげています。
今回のDane Aldersonのソロでは、コードトーンにクロマチックな動きでアプローチするフレーズがよく演奏されていましたが、映像を見てみるとエレキベースで無理なく演奏できるよう運指が最適化されているのが分かります。
フレーズの響きと指板上のコードトーンの位置が一致する感覚があり、しっかり自分の中で曲の流れが分かるような運指になっていると思います。私は今回トランスクリプションしてみて、その感覚に驚きました。
エレキベースでジャズのソロをとるときにかなり重要な要素ですので、ぜひそこもチェックしてみて下さい。
前半の記事はこちら◎
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